【陸上用語】ケツワレ(けつ割れ)の意味は?中距離や持久系スポーツだけに起きる独特の痛みを紹介!

  • 200mのスプリントを5本
  • ハイペースの400mを5本
  • レースペースで800mを1本

このようなメニューを行った後は、お尻から太ももにかけて、筋肉がひきつるような重い痛みが続きます。まるでお尻が割れるような感覚から、競技者の中では「ケツワレ(けつ割れ)」と呼ばれています。

「なんでまた痛くなる!ケツワレがなければもっと走れるのに…こんなところで離脱する自分が情けない…」とアナタは悩んでいませんか?これを書いている僕自身も長年ケツワレに悩まされ続けてきました。

僕は、中距離種目の800mを専門として走ってきましたが、同じ練習をしている仲間内でも、とくにケツワレが起こりやすい体質でした。毎日毎日、トレーニングについていけない自分が情けなかったので、アナタの気持ちは痛いほど良くわかります。

毎日の練習をこなすことはもちろん、その先のベストタイムや試合で結果を残すためにも克服したいですよね。僕は、

  • トレーニングの見直し
  • サプリメントの摂取
  • 身体のケア

などの工夫によって、ケツワレを克服しながらトレーニングを続けることができるようになりました。そのおかげで一流とは言えませんが、大学時代には県ランキングの上位に食い込んだり、知名度のある大会に出場したりと充実した競技生活を送ることができています。

ここでは、僕がケツワレと向き合ってきて、効果的だったと感じた対処法を余すことなくお伝えしていきます。

目次

ケツワレ(けつ割れ)って何?辛い原因は?

ケツワレを簡単に説明すると、400m程度の距離を全力疾走した後に、負荷のかかったお尻から太ももにかけて、割れるような痛みやだるさの症状が起きることです。これに走った後の酸欠状態も相まって、地面を転げ回るほど辛い状況が続きます。

400mや800mのレース後は、みんな地面にぶっ倒れていますよね。この人たちは絶賛ケツワレ真っ最中です。

ケツワレ(けつ割れ)が起こる原因

ケツワレは、筋疲労が主な原因として引き起こされています。激しい運動をしたときの筋疲労は、以下の2つが低下すると、生じやすくなります。

  • 筋張力(筋肉が身体を動かすために使う力)の低下
  • 弛緩速度(収縮した筋肉がゆるむまでの速さ)の低下

これらが低下するメカニズムは複雑で、まだまだ研究が未発達な分野です。そのため、はっきり解明されていませんが、現時点で有力とされる原因は以下があげられます。

  • エネルギー源の蓄えが少なくなるから
  • 細胞のpHバランスが酸性に傾くから
  • 筋小胞体のカルシウムの出入りが阻害されるから

他にも脱水や体温上昇、活性酸素なども原因の1つとして考えられているので、それぞれを深掘りしていくとキリがないです。なので、ここではささっと改善するための対処法について言及していきますね。

ケツワレを改善するには?効果的な対処法まとめ!

ケツワレを改善するための対処法として、筋疲労の回復に効果的なものを4つご紹介していきます。

  • 耐乳酸トレーニングで慣れる
  • ケツワレポイントを遠ざける
  • BCAAやクレアチンを摂取する
  • 血液循環を良くする

上記したように、筋疲労の原因は1つではありません。多角的なアプローチの組み合わせによって、ケツワレは改善されやすくなるでしょう。

1.筋持久力を高める耐乳酸トレーニングでケツワレを改善!

筋持久力を高める耐乳酸トレーニングでケツワレを改善しましょう。以下の2つの能力を上げることで、トレーニングからの離脱や、走っているときの失速への対策が可能です。

  • 筋疲労が起こった状態でも動きのキレを維持させる能力
    おすすめトレーニング→レペティション
  • 筋疲労が起こった状態でエネルギーを効率的に処理する能力
    おすすめトレーニング→ウェーブ走

1-1.レペティションでケツワレ対策!

まずおすすめするのは、レペティションです。レペティションとは、ほぼ全力(90〜95%程度)で走ることです。筋疲労によって動きづらくなった状態でも、ハイペースで走り切るトレーニングになります。

【トレーニング例1.400m×5本】

例えば400m×5本の場合。1本1本の質を重要視したいので、しっかり3分ほどの休憩をはさみます。ラストの5本目に近づくほど、どんどん脚が重くなってくるでしょう。ラストまでこなすことで、ケツワレへの耐性が付いてきます。

【トレーニング例2.(400m×3本)+(200m×4本)】

「キツすぎて最後までできない」という場合は、400mの本数を減らして短いスプリントを数本追加するなどの工夫をしても良いでしょう。例えば、(400m×3本)+(200m×4本)のような感じです。

1本の距離を短くすることで、失速しすぎてメニューが破綻することを最小限に抑えられます。少しずつ成功体験を積み重ねながら距離を伸ばし、高強度なレペティションに対応できる身体を作ってみてください。

1-2.ウェーブ走でケツワレ対策!

次はウェーブ走です。ウェーブ走は、走っていく中でペースを意図的に上げ下げするトレーニングです。これを行うことで、効率良くエネルギー処理を行いながらペースを切り替える技術が身につきます。「呼吸には余裕があるのに、身体がどんどん動かなくなってしまう…」とお悩みの方におすすめです。

【トレーニング例.1500m選手の場合】

例えば1500m選手がウェーブ走をする場合、

400m+100m+400m+100m+400m+100m+300m
400m,300m→レースペースを少し超える速さ
100m→ジョギングにならない流しの速さ

のように、レースの距離をぶつ切りにして、100m(休憩にならないほどのペース)で間を繋ぎます。慣れないうちは、200m×5本の間を100mの流しで繋ぐようなウェーブ走からはじめてみても良いでしょう。

2.最大スピードの向上でケツワレポイントを遠ざける

最大スピードが上がれば、ケツワレになるポイントが遠ざかります。400mのベストタイム60秒の人が、60秒で走ると高確率でケツワレします。

しかし、400mのベストタイムが55秒の人が60秒で走ると余裕があるので、ケツワレせず走り切れるでしょう。単純な原理ですが、最大スピードを向上させると、設定タイムが同じ場合ならケツワレしにくくなります。

最大スピードを向上させるには、総合的に能力を上げていく必要があります。しかし、まずは以下の2つで土台を作ることから始めましょう。

  • ウェイトトレーニング(筋肉量と筋力)
  • ジャンプ系トレーニング(弾む能力)

短距離や中距離選手がよく行う練習ですが、長距離選手も行った方が良いです。最大スピードが高いほどケツワレポイントが遠ざかるだけでなく、レース展開のバリエーション(ラストスパートやペースの上げ下げなど)が増やせます。

2-1.ウェイトトレーニング(筋肉量と筋力)

まずはウェイトトレーニングです。以下の2つのメニューが基本になります。

  • スクワット
  • デッドリフト

筋肉量を増やすなら8〜10回程度上がる重さ、筋力を増やすなら3〜5回程度上がる重さが目安です。次のジャンプトレーニングを効率良く行うためにも、体重の1.5〜2.0倍の重さを上げられるようになることを目標にしましょう。

2-2.ジャンプ系トレーニング(弾む能力)

次はジャンプトレーニングです。弾む能力を上げることで、接地時間を短くする基礎が身につきます。以下のようなメニューが効果的です。

  • 縄跳び
  • バウンディング
  • ドロップジャンプ

これらの基礎に、速いスピードの中でも弾めるようになる技術練習を加えていくと、どんどん最大スピードが上がっていきます。が、まずはウェイトトレーニングとジャンプ系トレーニングをコツコツやっていくことが大切です。

おすすめアイテム

これらのトレーニングをするならウィンドスプリントや、ビルトトレーナーがおすすめです。

  • ウィンドスプリント→地面を捉える感覚が磨かれやすい
  • ビルトトレーナー→重いが強い衝撃に耐えられる

感覚を重要視したいならウィンドスプリント、冬季練などでガッツリ鍛えるぜ!って場合はビルトトレーナーって感じですかね。どちらもトレーニングで重宝するシューズなので、1足持っておいて損はないです。

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3.BCAAやクレアチンを摂取する

ケツワレするほどの高強度なトレーニングをするなら、BCAAやクレアチンの摂取がおすすめです。どちらも吸収スピードが早く、消化器系への負担を最小限に抑えながら、筋肉のエネルギー源の合成を補助してくれる便利なツールです。

BCAAの摂取で期待できる効果

BCAAは、人間が体内で生成できない必須アミノ酸9種類のうちの3種類(バリン・ロイシン・イソロイシン)の総称のことです。摂取することで、主に以下の補助が期待できます。

  • 筋肉のエネルギー源へ変換
  • 筋肉の合成促進・分解抑制
  • 筋疲労の軽減・回復

筋疲労が起こる原因の1つとしてあげた「エネルギー源の蓄えが少なくなるから」への対策として有効です。これによってより長時間のパフォーマンス向上や筋疲労の改善が期待できます。トレーニング前や最中に摂取してみましょう。推奨されている摂取量は1日に15〜30g前後です。5〜10gを3回程度に分けるとちょうど良いですね。

【プロテインはダメなの?】

よくBCAAはプロテインと比較されます。今回のケツワレを改善するための対処法としては、トレーニング前や最中に消化器系に負担をかけにくく、30分程度で素早く吸収できるBCAAの方がおすすめです。プロテインは60〜90分程度かかるので。

ただし1回で摂取できるアミノ酸の量や価格面でプロテインの方が優位に働く場合もあるので、それぞれ適材適所での使い分けがおすすめです。

【BCAAのおすすめブランド】

BCAAならエクステンドがおすすめです。僕もリピートしていますが、柑橘系のフレーバーは、酸味のあるジュースって感じで、美味しく継続しやすいです。1回のトレーニングでの摂取量では、スポーツドリンクよりも安価なので、コスパ的にも◎

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クレアチンの摂取で期待できる効果

クレアチンは、無酸素性の高い高強度の運動で使われるエネルギー源(ATP)の再合成を補助することが期待できるサプリメントです。摂取することで期待できる効果は主に以下のとおりです。

  • 筋肉のエネルギー源の再合成
  • 高強度運動のパフォーマンス向上
  • 筋肉量や筋力の維持・回復

クレアチンも筋疲労の原因の1つである「エネルギー源の蓄えが少なくなるから」への対策に有効です。とくにレペティションやハイペースのインターバル走などの高強度な運動に使われるエネルギー源の再合成を補助することから、ケツワレ改善の効果が期待できます。

高強度運動でのパフォーマンスUPに関する研究結果が多いこともあって、効果を実感しやすいサプリメントの1つです。とは言っても、人によって効果の大小はさまざまです。速筋の多い人の方がより効果を実感しやすいそうです。摂取開始から1週間程度は 1日で5g×4回摂取し、その後は1日に3-5g×1回摂取で効果を維持できるとされています。

まずはトレーニングから試してみてください。こだわる方は、糖質と摂取することで効果を得やすいとされているため、プロテインと混ぜて摂取するなどしてみても良いでしょう。

【クレアチンのおすすめブランド】

クレアチンはモノハイドレード(粉末タイプ)が1番無難で効果が高いです。ハルクファクターがコスパ良く利用できます。私もリピーターの1人です(笑)

amazonでは、2,000を超えるレビューのうち約8割が星4以上の高評価です。

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4.血液循環を良くする

ケツワレ直後は、アイシングで筋肉の炎症や無駄なエネルギー消費を抑えることをおすすめします。その後の対処法になりますが、筋肉の状態が落ち着いたら、血液循環を良くして回復を促しましょう。以下の方法を組み合わせると、筋疲労の回復に効果的です。

  • 入浴(交代浴)
  • アクティブレスト
  • ストレッチ
  • マッサージ

アクティブレストは、心拍数を上げすぎないジョギングやスピンバイク、または水泳などが効果的です。マッサージなら、温度調節ができるマッサージガンがおすすめ。とくに血液循環が悪くなりやすい気温の低い日のウォーミングアップに役立ちます。

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まとめ:ケツワレが辛いなら実践あるのみ!

今回は、僕が実践しているケツワレ改善のための対処法について解説してきました。ケツワレしやすいことで、

  • トレーニングからの離脱
  • 走っている途中の失速

に悩んでいるなら、今回お伝えしてきた内容をぜひ試してみてください。努力の証としてプラスに捉えられるようになると、トレーニングに前向きに励めるようになるでしょう。人によって効果は変わるでしょうが、やってみないと何も変わりません。0.1秒でも自己ベスト更新に効果が期待できるなら実践するのみです。

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